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  • HLL事務局

【REPORT】2022.11.30 STUDY MEETING




「ゆるさ」と「共同体験」が生み出す、地域と個人の心地よいつながり。つながりづくりは、地域のこれからに不可欠な「種まき」



今回のStudy Meetingは、テーマを「ひろしま里山ウェーブから考えるソーシャルキャリアの探索/地域の外部人材受け入れ戦略~江田島市の事例より~」と設定しました。


そこで、HIROSHIMA LIVING LABメンバーも関わっている広島県の事業「ひろしま里山ウェーブ」を題材に、事例として江田島市の関係者の話を聞きながら、ソーシャルキャリアや外部人材の受入れによる地域への影響について、学び合いました。


また特筆すべき点として、広島県の共催で、広島市中心部にある広島県の運営施設、イノベーション・ハブCamps(キャンプス)を利用するなど、HIROSHIMA LIVING LABと広島県による、セクターを越えた共創によって生まれた場となりました。



◆「ひろしま里山ウェーブ」とは?


今回の話の前提となる「ひろしま里山ウェーブ」プロジェクトの概要について、この事業担当者である広島県中山間地域振興課の原田さんから説明がありました。



このプロジェクトは、地域貢献に高い意欲を持つ首都圏等のソーシャルな人材と広島県の中山間地域(里山・里海)とのマッチングを図り、関係人口づくりを盛り上げていくことを目的としています。(里山ウェーブの詳細はこちらをご覧ください)



今年度は、江田島市、安芸高田市、三次市、庄原市の4市が手を挙げ、受け入れ地域となり、解決してもらいたい課題やパートナーとなる地域事業者を提示し、各市5名の受講生を受け入れています。


受講生は、キックオフやチームビルディングを経て、現地実習を行い、その後、解決プランを地域事業者等と一緒に考え、年度の最後に発表をします。そのプロセスの中で、地域の方との関係を深め、関係人口化するとともに、プランの実行・実現にも関わってもらうなど、継続的な関係づくりを企図しています。


こうした取り組みは、今年度も含めると既に7年間実施しており、246名の受講生、広島県内の中山間地域を抱える全19市町の内、12の市町で実施しているとのことでした。


これだけの実績がありながら、広島県内での認知度は低い状況であるため、このプロジェクトの意義や可能性を知ってもらい,県内の皆さんにもこれから何らかの形で広島県の中山間地域振興に関わりたいと思ってもらえるきっかけをつくりたいというのも、今回のStudy Meeting開催の背景にありました。

◆江田島市の行政担当者・地域事業者・受講生に聞く。「ひろしま里山ウェーブ」のリアル



今回のメインともいえる事例を聞くパートでは、プロジェクトの解像度を上げていくことを狙いとして,過去7年間のひろしま里山ウェーブの中で、最も多い6回の受け入れを経験し、受け入れ人数も38人と最多である江田島市のキーマン3名にお話を伺いました。



江田島市企画推進課長の畑河内(はたごうち)さん、地域密着型のまちづくり会社であり、今年度の地域事業者の一般社団法人フウドの代表の後藤さん、そして今年度の受講生である岡本有子さんに発表いただき、その後会場からの質問を受けながら、参加者全員で理解を深めていきました。


畑河内さんに、行政の立場としてプロジェクト参加の動機を聞くと、「友だちづくり」と少し意外な言葉が返ってきました。過去の受講生全員、とはいかないものの、かなりの受講生と現在も関係は続いており、間が空いても連絡があったり、東京でのイベントに顔を出してくれたりするのだそうです。江田島のことを思い、自分たちと一緒に動いて1つのプロジェクトをつくる人・関係=友だちと表現したのだそうです。


地域事業者の後藤さんも、「『楽しみ』を維持しながら、関わりをつくる」ことを意識していて、江田島市の特徴として「ゆるさ」があることに触れました。



それを裏付けるように、受講生の岡本有子さんからは、江田島を訪れて、「自分が地域に受け入れられている感覚」で、過度な期待を感じることもなく、「ナチュラルな、良い人間関係」ができる場所だと感じたそうです。広島出身だから、地方創生に興味があって、地域で何かできないかと思って、大学では出会えない人たちとの共同作業等々、受講生の参加動機は様々なものの、現地実習で実際に江田島市を訪れると、変な気負いが抜け、地域の人と一緒に時間を過ごし、体験を重ねる中で自然とつながりが生まれたのだそうです。



このように、個人と地域のいい関係が生まれる一方で、会場参加者のうち,江田島市にお住まいの方から、そのつながりや成果が、地域に還元されていない、その後がどうなったのか見えてこないなどの課題が挙がりました。たしかにこれは課題である一方で、「地域の方々にしっかりと伝えることで、関わりが増える可能性がある」といった捉え方も、会場参加者から示されました。

また、地域福祉を専門にしている参加者からは、「地域が外部人材を受け入れるには、地域の側に『受け入れる力』が必要で、地域も力をつけていくことが大事なのではないか」といった鋭い指摘も挙がりました。

これらの論点について、すべてをじっくりと議論する時間は残念ながら取れず、今後への持ち越しとなりましたが、外部人材が地域にもたらす変化と成果と課題について、もっと知りたいといった気持ちが会場のみなさんから感じられました。



このパートの最後に、ひろしま里山ウェーブの成果を尋ねると、畑河内さんからは「『種まき』だと思う」と答えが返ってきました。それは、これから地域で何かをする時に、必ず一緒に動いてくれる仲間(友だち)が必要となり、里山ウェーブは、そうした人たちとのつながりをつくるための種まきという意図とのことで、とても印象に残りました。



◆「ひろしま里山ウェーブ」の価値。ソーシャルキャリア×地域が生み出す可能性



同事業の統括メンターである叡啓大学の早田先生から「ソーシャルキャリアの探索―地域活動を起点に―」というタイトルで、ソーシャルキャリアの形成と地域に関わることの価値や可能性についてお話していただきました。


そこでは、キャリアや「働き方」の変容を起点にしながら、次の2点を指摘されました。


1つ目が、寿命が延び、人生100年をどう生きていくかが個人の大きなテーマとなる中、これからは1つのスキルに頼るのではなく、学び直し(リスリング)、新たなスキルを獲得しながら長い人生のキャリアを考えることが大切になるということ。


もう1つが、VUCAと言われるような、先が見えず、社会が答えを持ち合わせていない状態の中で、個人が自分起点で考え、動き、答えを見つけ出していくことが求められるという点です。この時大切なのが、①個人の「内発的動機」であり、そうした②個人の動きを支える「仲間」と③仮説・検証を試せるフィールドやリソースのある「試行する環境」です。


このように、①を持ち、本業以外に自分の活躍の場を探す人材が受講生として、広島県の地域と出会い、受講生同士、さらには地域の事業者やコーディネーターと仲間となりながら、解決すべき地域課題や解決に必要な地域資源を提供できる③のような環境の中で試行錯誤する機会。まさに、これが「ひろしま里山ウェーブ」であり、外部の力を必要とする地域と、地域との関わりから得た経験・スキル・繋がりによりソーシャルキャリアを形成したい個人との良質なマッチングが生まれる可能性があります。


また、こうしたキャリア形成に関心のある人は、首都圏だけでなく、広島県内の都市部にも存在しており、多様な人が中山間地域と関わり、地域の課題解決力も個人のキャリアも豊かになっていってほしいと締めくくられました。



今回のイベントを通じて、広島の中山間地域に関わることの可能性について、多角的な視点から学び合うことができました。ひろしまリビングラボでは引き続きセクターを越えた学びの場、共創の場を提供していきたいと思います!



(文:HLL 岡本泰志)


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