23年3月19日、猿猴川のほとりにある「川の駅」と広島駅前 福屋裏「猿猴川水辺広場」にて「みんなの」 MARKETが開催されました。
当日は、過去最大規模のスペースを使い、フードに音楽に、コーヒーやお酒、アクセサリーや植物など多種多様な出店者と参加者が混ざり合い大きな盛り上がりを見せるとともに、広島の川辺空間に新しい風景が彩られました。今回は「みんなの」 MARKETの仕掛け人でもあるリーサーチャーの吉田実さんにお話を聞きました。
吉田さんは普段どんなお仕事を手掛けていらっしゃいますか?
シンクタンクの研究員として、主に都市計画やまちづくりに関する調査や計画策定などのお手伝いをしています。広島駅周辺地区まちづくり協議会の活動支援もその一環ですが、日ごろは行政からの委託業務に携わることが多いです。
広島駅周辺地区まちづくり協議会はどういうきっかけで関わるようになられたのですか?
もともとは広島市の職員時代に、当時の上司から広島駅周辺地区でのエリアマネジメント組織づくりについて検討するよう指示を受けたのがきっかけです。その後、縁あって今の立場で、業務として準備会議の運営や組織設立の準備に携わり、今も半分仕事、半分ボランティアみたいな感じで関わっています。
これまでの取組の経緯について教えてください。
広島駅周辺地区まちづくり協議会では、広島のアイデンティティの一つである川を活用した賑わいづくりとして、広島駅すぐ近くの猿猴川の活用について広島市への提言を行うなど、広島駅に来た人が川を感じることができる場づくりに取り組んできました。そうした中で、2022年1月に、猿猴川河川空間の包括占用主体として選定され、2か所の公共空間(川の駅、水辺広場(仮称))について、賑わいイベントやキッチンカーの営業をしたい人に貸し出すことができるようになりました。ただ、そうした場所ができたからといって、すぐに使いたい人が現れるというわけでもないので、まずは自らが主催イベントを開催するなどして、水辺空間の新しい使い方を提案し、活用の可能性を検証しているところです。
RIVER「みんなの」 MARKETのコンセプトやウリについて教えてください。
河川空間は公共スペース=「みんなの」場所なので、あまり形式にはこだわらず、そこに集まった人たちが、思い思いに楽しめる時間を過ごせる場づくりを目指しています。食事をしたり、休憩したり、仕事をしたり…、そういった「水辺で誰かが何かをしている場面」が日常的な風景になるような使い方が提案できるといいかな、と思って取り組んでいます。
うまくいっている点、ご苦労されている点などありましたか?
私自身は見守っているだけではありますが…、定期的に開催することである程度定着してきているかな、とは感じています。出店したいとか、キッチンカーを出したいといった問い合わせもあったりします。その一方で、広報という点では、SNSを中心に口コミでのPRに頼っているところがあり、まだまだ知られていないとも感じています。せっかく良い取り組みをしているつもりなので、もっと多くの人に知ってもらいたいですし、そうなることが取組に関わってくれている人のモチベーションにもつながるのではないかと思います。
また、屋外なのでどうしても天候に左右されてしまいます。いつも1週間ぐらい前から天気予報ばかり気にしています。
吉田さんが思われる広島の川辺の魅力や可能性ってどんなものですか?
広島ぐらいの都市規模で、これだけの川が身近にある都市は貴重なのではないでしょうか。ある程度都市的な暮らしをしながら、水や緑にいつでも触れることができるということは、同じような規模の他の都市と比べて大きな強みになり得ると思います。あまりにも身近過ぎて、住んでいる人はあまりその魅力に気づいていないのかもしれませんが…。
また、最近、広島駅周辺にも外国人観光客がかなり戻ってきましたが、特に何があるわけでもない猿猴川の川辺を歩いたり、写真を撮ったりしている姿をよく見かけます。新幹線が来るまでの時間をつぶしているようですが、私たちにとっては見慣れた景色でも、外国から来た人たちには魅力的な景色で、そこで時間を過ごしたいと思える場所なのだと思います。そうしたちょっとした空き時間を過ごす場所としての可能性も感じています。
最後に今後の展開を教えてください!
当面は継続的に開催しつつ、「みんなのマーケット」みたいなことをやりたい、という人を発掘していきたいと考えています。広島駅周辺地区まちづくり協議会としては、イベントを主催するというよりも、水辺でいろいろなことをやりたい、と思っている人たちの受け皿になって、そういう人たちが好きに使える環境を整えていくことが役割だと思っています。
また、エリアマネジメントの一環として取り組んでいますので、取組成果のエリア内への波及も考えていかなければなりません。単にイベントに人がたくさん来て終わり、ということではなく、イベントそのものにエリア内の人たちがもっと関わるとか、水辺の賑わいが周辺へ波及してエリア内の回遊性が高まる、といったことを目指した仕掛けづくりもしていきたいと考えています。
(聞き手:HLL水木智英)
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