【REPORT】22.10.12 HIROSHIMA LIVING LAB STUDY MEETING「並木通りの現在地」 今回のHIROSHIMA LIVING LAB(HLL) スタディミーティングは、「並木通りをもっと魅力ある通りにしていきたい」「自分たちのマチは自分たちで創ろう」と立ち上がった並木通りブランドアッププロジェクトの市川さん・福本さんからの話題提供を起点に、これからのまちのあり方についてみんなで考えました。
広島市中区新天地・袋町・三川町にある並木通りは、アパレル系や軽飲食のカフェ等のお店などが軒を連ねる広島の都心を代表するストリートということもあり、皆さんの関心も高く予想を超える申し込みを頂きました。

第1部はHLL平尾さんモデレーターの下、市川さん、福本さんによる並木通りのまちづくりの取組についてのご紹介。

並木通りは広島城築城時には運河だったものを戦後に埋め立てられ「新川場通り」とよばれる商店街が誕生。1976年、地元の有志が周辺の道路環境整備に立ち上がり、サワグルミの木を植えたことから「並木通り」とネーミングされました。
1987年には電柱の地中化やカラー舗装、アートモニュメントなどが整備され、開放的で美しくおしゃれな通りに変わりました。一連の取組は地元主導によるまちづくりとして全国的にも稀な先進事例として話題となり、多くのアパレルショップが立ち並ぶ通りとなり、中四国有数のおしゃれな街として称されるまでに発展しました。
このような中、近年はハード面の老朽化・空洞化・空き店舗、商店街や地域の一体感不足、街をとりまく環境と消費行動の変化などが顕在化しており、今のままでは街の中心部の価値が危うい状況になってきました。
厳しい現状を打開するために、街に関わる人が中心になって次世代の並木通りを創ろうと、これまでバラバラだった地域の活動を「並木コンソーシアム」を通じて、一体的に取り組んでおられること等をご紹介頂きました。
次に、地元主導でにぎわいを創出した事業として、福本さんより並木ジャルダンの取組をご紹介頂きました。

並木ジャルダンは、並木通りの一方通行の社会実験であり、グリーンを多用した空間や、ハイクオリティな出店コンテンツが並ぶなど、外部からはとてもキラキラした素敵な印象を持っていました。しかし、ここまでの大規模な社会実験が故に、多岐にわたるステークホルダーとの調整、当日まで読めない天候など、ここでしか聞けないリアルな苦労話などもお話頂き、参加者全員が大変興味深く聞き入りました。
第2部は、現状抱えているまちづくりの課題を共有しました。市川さん、福本さんからは最重要課題として「仲間集め」を挙げられました。まちの賑わいを維持していくためには、プレーヤーが必要なのですが、特に若い世代からの参加が少なく、まちづくりの活動を継承していく上での大きな懸念事項となっているようです。実際に並木通りで商売をされている参加者からも同様の印象を確認することができました。

第3部は、前述の課題を起点に、参加者全員でディスカッションしました。
考えを深めるために、広島都心部で活動するRiverDo!基町川辺コンソーシアムの取組も紹介頂き、他の活動と対比しつつ対話を進めました。

ディスカッションの一部をご紹介します。

「他のエリアでまちづくり活動に取り組んでいるが同様の苦労がある。大学と連携した活動とすることで打開の糸口を探っている。」
「まちづくり活動の資金を調達するためにオリジナル商品の売上の一部をまちづくり活動に還元する仕組みをつくっている。」

「他のエリアで並木通りと同様に商店街を中心としたエリアマネジメントに取り組んでいる。商売されている方だけでなく地権者の意識改革が必要であり、そこに取り組んでいる。」

「取組に対する分かりやすいメッセージを持ち、関わってみたいと思わせるファンを増やしていくことが重要。」

「規模の大小はあるものの、途切れることなく多様な仕掛けを作り出し実行し続けることが持続的な活動に繋がる。」
「自分達でやりたいことを中心に取り組みつつ、その流れで清掃活動して帰るなど、無理のないプラスアルファの活動が重要ではないか。」
第4部はドラフティングを担当したHL岡本さんが本日の会を振り返ってくださり、あっという間に2時間のスタディミーティングが終了しました。

会の終了後の懇親の場では「一緒に共同イベントがしたい」という具体的な提案や、「私も並木通りのまちづくりに参加したい!」と20代の参加者が申し出てくださるなど、新しい視点の獲得や仲間づくりが芽生えはじめていました。

最後に、並木通り界隈の未来を見据え常に最前線から率先して地元主導のまちづくりに取り組んでこられた市川さん、福本さんだからこその示唆に富み本質を突いたお話を頂きました。改めて厚く御礼申し上げます。
HLLでは、引き続き多様なセクターが一個人として気軽に参加でき、市民の知と経験の結集(集積)する共創できる場をつくっていきたいと思っています。
引き続きどうぞよろしくお願いします! 並木コンソーシアム
(HLL水木) (写真:おだやすまさ)